替折釘|和釘の用い方
伝統的な和釘、替折釘の紹介です。
「かいおれくぎ」と読み、「階折釘」「皆折釘」とも書きます。
和釘は用途に応じて様々な形があります。
中でも、頭をコツンと打った形をした替折釘は
壁板をはじめ、犬矢来、釣瓶など一番出番が多いです。
これが替折釘です。
鉄材を火に入れて熱し、赤くなったところを叩いて形作ります。
一本いっぽん手で打っていますので、それぞれ姿が異なります。
替折釘がもっともよく使われているのは伝統建築の壁板です。
街を歩いた時に、古い町家などの壁面に注目してみてください。
このように整然と打たれたさまが見られると思います。
替折釘は頭の形に大きな特徴があります。
コツンと打たれたような形をしていますので、上の写真のように
打たれても板の上に頭が出ることになるのです。
この頭が出るということが最も大切なことで、
一枚あたりに何本か用いて等間隔で打っていったその壁には
釘の頭の整然と並び、それが壁にリズムと締まりを生むことになるのです。
これが和釘を使った日本建築の美でしょう。
上の写真は松材に替折釘が打ってあります。
打たれて時間が経っておりますので、釘から自然の錆がおりてきています。
この錆を一般的には余計なものと感じられる場合もあるかもしれませんが、
鉄は錆びることによって太ります。
和釘は角足で、抜けにくいものです。
角足で力強く木々を打ちつないだ釘は時間が経つにつれ、自然と太り、
さらに強くつなぎ合わせる役目を果たすのです。
替折釘を打つ向きは口先を下に向ける事が多いです。
皆さんもぜひ街を歩いた時、壁や戸板にどんな釘が用いられているかご覧になって見てください。
楽しい発見があるはずです。