和金物の色着け|素銅色
2016年8月1日 / 金物のはなし
襖引手「素銅丸」(銅製)
この引手は銅で出来ており、本来は銅そのものの色で光り輝いています。
それを伝統の薬液で煮炊いて色を付けたものがこの「素銅」色です。
「すあか」と読みます。
銅の表面をきれいに磨き上げ、秘伝の薬液で煮てこの独特のオレンジ色に仕上げます。
薬液で煮ることで銅の表面に極めて薄い化合した膜ができ、この色になります。
つまりピカピカの銅をあえて古ませたようなものです。
ところが、この色着けを施すことで銅はそのまま古んだのでは味わえない独特の良い古み方をします。
素材そのものを用いることをせず、あえて古ませる。
これは和金物の一つの妙でしょう。
また、取り付けの際には、襖の唐紙や木生地と互いを引き立てあいます。
これがまた和金物の面白いところです。